トヨタの強さの秘密 ~技術経営における産学ギャップを乗りこえるために~
【要旨】
21世紀においても日本の持続的発展は、ハードすなわち「モノづくり」を抜きには語れない。しかし、ハードとソフトの一体化、融合化を図り、IT社会に向けた仕事の仕方の変革が企業競争力の切り札である。トヨタのDNAとも言われるトヨタ生産方式の「常にあるべき姿を目指して改善しつづける人と組織を創りあげること」とする目標は、新技術受入れの人的能力の向上と人の改善・改革力にある。ここでは、トヨタ生産方式を基本とする人材育成、ITイノベーションの事例を引用して、トヨタの強さの秘密の一端を紹介する。トヨタは三河の田舎にあったが故に、常に世界における自らの技術レベルを比較・分析し、国内外の大学とコラボレーションを図ってきた。大学が独立法人化されて1年、産業界と大学とのギャップを乗り越えた技術経営推進のための産学連携が望まれる。